衛生管理者という資格があるわけです。ざっくり説明すると職場の衛生面の改善や病気の予防のためにあれこれ管理する資格のようです。ある程度以上の規模である事業場には必ずこの資格を持った人を置かなきゃいけないとのこと。こんな説明で察した方もいらっしゃるでしょうが、私はこの資格を持っておりません。ただ、友人知人には持っている人が何名かいらっしゃいます。
で、その中のひとりについての話であります。その人は衛生管理者としてはベテランの域でして、衛生管理者として何をすべきかかなり把握しているのであります。それはいいのですが、たまに妙なことをする方でもありまして。
ある日、衛生管理者になったばかりのその人は勤務先の労働環境をチェック致しました。ある程度以上の事業場では衛生管理者などが衛生委員会を設置し、衛生に関することを話し合い、事業者に意見を言わなきゃいけないとのこと。で、その人は異動先での初めての衛生委員会の会議でいきなりこう言ったそうであります。
「この事業場には痰壺がない」
なんでもどこかの条文に痰壺を置かなければいけないという規定があるのに、ここは置いてないとのこと。他の出席者一同、しばらくポカンとした後、笑ったそうです。結局、痰壺は置かれませんでした。言った本人も含めて、痰壺なんて置いた方がむしろ不潔だという結論に達したからです。
本当にそんな項目があるのか気になって調べたところ、「労働安全衛生規則」の第621条に痰壺の備え付けに関する規定が載っていたようです。施行されたのは昭和47年でありますから、施行当初は痰壺があった方が衛生面に配慮していると考えられていたのでありましょう。しかし、時は流れ、痰壺なんてある方が不潔と考える時代になりました。そして、その人が衛生委員会で爆笑をかっさらってから程なく、具体的には平成9年3月25日の改正で労働安全衛生規則の第621条は削除され、今や痰壺の存在すら知らない人すら出てきたのであります。
それでも、その人は「条文で痰壺について決められている」という事実がよほどツボに入ったのか、私と衛生管理の話をするたびに痰壺の話をするのであります。その人は言いました。
「きっと私が最後の痰壺世代だったんだ」
私が解釈するに、その人は労働安全衛生規則第621条が存在していた時期に衛生管理者となった最後の世代だった、という意味で「痰壺世代」と言ったのでありましょう。しかし、それを知らないと酷い悪口にしか聞こえないなあと私は密かに思った次第であります。
で、その中のひとりについての話であります。その人は衛生管理者としてはベテランの域でして、衛生管理者として何をすべきかかなり把握しているのであります。それはいいのですが、たまに妙なことをする方でもありまして。
ある日、衛生管理者になったばかりのその人は勤務先の労働環境をチェック致しました。ある程度以上の事業場では衛生管理者などが衛生委員会を設置し、衛生に関することを話し合い、事業者に意見を言わなきゃいけないとのこと。で、その人は異動先での初めての衛生委員会の会議でいきなりこう言ったそうであります。
「この事業場には痰壺がない」
なんでもどこかの条文に痰壺を置かなければいけないという規定があるのに、ここは置いてないとのこと。他の出席者一同、しばらくポカンとした後、笑ったそうです。結局、痰壺は置かれませんでした。言った本人も含めて、痰壺なんて置いた方がむしろ不潔だという結論に達したからです。
本当にそんな項目があるのか気になって調べたところ、「労働安全衛生規則」の第621条に痰壺の備え付けに関する規定が載っていたようです。施行されたのは昭和47年でありますから、施行当初は痰壺があった方が衛生面に配慮していると考えられていたのでありましょう。しかし、時は流れ、痰壺なんてある方が不潔と考える時代になりました。そして、その人が衛生委員会で爆笑をかっさらってから程なく、具体的には平成9年3月25日の改正で労働安全衛生規則の第621条は削除され、今や痰壺の存在すら知らない人すら出てきたのであります。
それでも、その人は「条文で痰壺について決められている」という事実がよほどツボに入ったのか、私と衛生管理の話をするたびに痰壺の話をするのであります。その人は言いました。
「きっと私が最後の痰壺世代だったんだ」
私が解釈するに、その人は労働安全衛生規則第621条が存在していた時期に衛生管理者となった最後の世代だった、という意味で「痰壺世代」と言ったのでありましょう。しかし、それを知らないと酷い悪口にしか聞こえないなあと私は密かに思った次第であります。