道徳の教科書に何が書かれていたかはほとんど覚えてませんが、とある時期の表紙だけはやたらと覚えています。というのも、表紙に描かれている女の子のひとり、彼女のズボンの色が肌の色とかなり近い色のせいか、パッと見、何もはいてないように錯覚してしまうのです。当時は確か小学校高学年または中学生、いずれにしろ多くの男子はエロいことにはアンテナをビンビン張りまくるお年頃であります。あっという間に道徳の教科書は「これ、はいてないように見えるだろ」というお色気系一発ギャグの道具と化しました。

 道徳の教科書からそんなことしか学ばず大人になって幾年月、表紙の女の子の絵すらごくたまにしか思い出さなくなったはずなのですが、意外な形で尾を引いておりました。肌の色に近い服を着ている人を見ると半裸または全裸に見えるようになっていたのです。

 もちろん、肌の色に近い服を着る人に会うなんてことはあまり多くないのでありますが、だからこそ遭遇すると面食らうんであります。上半身裸でバッグを肩掛けしているとか、逆に上は厚着なのに下ははいてないように見えるとか、いずれにしろ私が警官だったら全く怪しくない人に職務質問をかましてしまう危険性大であります。危ないところでした。

 当然のことながら、視界が悪くなればなるほど見間違いの可能性も上昇します。例えば夜なんて特にそうです。半裸または全裸の人が遠くに見えるとそいつが老若男女のどれだろうが「ヤバいやつがいる」というプレッシャーが結構なものであります。緊張しながらすれ違うと、ヤバかったのは己の目だったと分かり、安堵するわけですね。

 どうすれば治るのか考えましたが、落ち着く以外にないと思いました。