M-1グランプリ2017の敗者復活戦を見たので感想を書いて参ります。
敗者復活戦は伝統的に寒い屋外が舞台でありまして、ここ数年はテレビ中継とリンクさせていることもあって制限時間も厳しく設定されているようです。つまり、ネタをするには過酷な環境でありまして、その中でいかに普段通りのネタをし、寒い中での観客を笑わせるかが勝利の鍵となっているように思われます。
というわけで、ネタ順にあれこれ書いて参ります。それでは最初の7組です。例によって敬称略です。
ランジャタイ(オフィス北野)
暴走するボケに戸惑うツッコミという形式でありました。ボケは訳の分からないことを言いまくり、最終的には決め台詞のようなものを言うと宣言しておきながら結局言わないという行為に終始しました。
訳の分からないことをして笑いを取るには観客を置いて行かないのが一応の前提条件となるわけですが、ちょっとその条件を満たしているとは言い難い様子でした。話の流れが同じところで足踏みしているどころか同じような言葉を繰り返し言い続けているのに意味が理解しづらいというのはこの舞台では厳しいと言わざるを得ないかと。
笑撃戦隊(ワタナベエンターテインメント)
ふたりのやりたいことがそれぞれ「容疑者の取り調べ」と「ヒーローインタビュー」だったので、そのふたつを組み合わせてしまおうというミスマッチで笑うネタでした。大体は今年の2回戦でも披露したものかと存じます。
構成で笑わせるのが得意な彼ららしいネタであることは2回戦の感想でも書いた気がします。構成がキチンとしているために高水準で安定してウケを狙えることかと存じます。強いて書くならば話の進み方や話す人のテンションがほぼ一定のまま最初から最後まで続いている点が気になりまして、ドカンと盛り上がるポイントが何かしらあるといいなあと個人的には思います。
からし蓮根(吉本興業)
街角で転校生の異性とぶつかるというよくある場面をネタにした漫才でありました。
ボケの言動をツッコミでキチンと説明を補完して笑わせるという普通に漫才の腕を感じさせるネタでありました。が、もうちょっと観客の虚をつく何かと申しますか、もっと独特な武器があるとよかったかなあとは思います。漫才が問題なくできているのであれば、ひとつ編み出せばだいぶ変わってきそうではあります。
Aマッソ(ワタナベエンターテインメント)
自然の良さを知ろうとするもののところに現れるとされる「文化にふれな侍」というものがあれこれ暴れ回るというネタでありました。
独特なキャラクターを出す場合にはとりあえずある程度はそれがどういうやつなのかを観客に認識してもらう必要が基本的にはございますし、訳が分からないなら訳が分からないなりに笑いどころをキッチリと観客に示す必要があるのだと考えられますが、今回の場合はそのどちらも達成せず、「変なのが変なことをして終わった」で終わり、そこまで笑いに繋がらなかったのではないかと思われます。短い時間で暴れるには設定が多く、複雑すぎたのが一因ではないかと考えております。
三四郎(マセキ芸能社)
ファンに神対応を試みるもファンが予想以上にヤバいやつだった、というネタでありました。
独自の言語感覚によるツッコミは健在でありますが、それ以上にキチンとネタをまとめてきた印象があります。独特な言い回しは自然と不自然の間を揺れてる印象ですが、相手の攻撃に対する言葉を中心にはまっていたのでよかったのではないかと思われます。ボケが発言後に数秒ずつ何もしていない状態があった、という点は気になりました。
東京ホテイソン(グレープカンパニー)
山に行ってクワガタを見つけるなどいろいろする話をベースに、ボケの行為に対してツッコミが独特な言葉と言い回しで一言二言くらい言い放って落とすというネタでありました。
ボケは明確にボケることがそこまで多くなく、それだけを見ていると面白い点を見出せない可能性もありそうなのですが、そこをツッコミがビシッと決める、そういうシステムのように見えました。ある程度以上、観客に受け入れられていたように思われます。笑いを取る場所が普通の漫才よりも限られてきますので、一発の破壊力をより上げてゆくのが今後の課題になるのでしょうか。
アイロンヘッド(吉本興業)
無口な人とふたりきりでコンビニバイトをするという気まずい場面だったはずが、ふたりとも考えていることが独り言として口にしてしまうタイプの人間で、それによって互いの意思疎通をうまくいかせるというネタでありました。
システムとしては面白いと思いました。無口な人が心の中では実はいい人っぽい考えを持っていたとか、実はもう片方も思ったことを口にしてしまうとか、様々なシステムを二重三重にして笑って貰うということには成功していると思います。と同時に、今のところは話がそこで終わってしまっているようにも思いまして、話を盛り上げるポイントなどを仕掛ける必要があるのかなあとは思いました。
感想はまだまだ続きます。
敗者復活戦は伝統的に寒い屋外が舞台でありまして、ここ数年はテレビ中継とリンクさせていることもあって制限時間も厳しく設定されているようです。つまり、ネタをするには過酷な環境でありまして、その中でいかに普段通りのネタをし、寒い中での観客を笑わせるかが勝利の鍵となっているように思われます。
というわけで、ネタ順にあれこれ書いて参ります。それでは最初の7組です。例によって敬称略です。
ランジャタイ(オフィス北野)
暴走するボケに戸惑うツッコミという形式でありました。ボケは訳の分からないことを言いまくり、最終的には決め台詞のようなものを言うと宣言しておきながら結局言わないという行為に終始しました。
訳の分からないことをして笑いを取るには観客を置いて行かないのが一応の前提条件となるわけですが、ちょっとその条件を満たしているとは言い難い様子でした。話の流れが同じところで足踏みしているどころか同じような言葉を繰り返し言い続けているのに意味が理解しづらいというのはこの舞台では厳しいと言わざるを得ないかと。
笑撃戦隊(ワタナベエンターテインメント)
ふたりのやりたいことがそれぞれ「容疑者の取り調べ」と「ヒーローインタビュー」だったので、そのふたつを組み合わせてしまおうというミスマッチで笑うネタでした。大体は今年の2回戦でも披露したものかと存じます。
構成で笑わせるのが得意な彼ららしいネタであることは2回戦の感想でも書いた気がします。構成がキチンとしているために高水準で安定してウケを狙えることかと存じます。強いて書くならば話の進み方や話す人のテンションがほぼ一定のまま最初から最後まで続いている点が気になりまして、ドカンと盛り上がるポイントが何かしらあるといいなあと個人的には思います。
からし蓮根(吉本興業)
街角で転校生の異性とぶつかるというよくある場面をネタにした漫才でありました。
ボケの言動をツッコミでキチンと説明を補完して笑わせるという普通に漫才の腕を感じさせるネタでありました。が、もうちょっと観客の虚をつく何かと申しますか、もっと独特な武器があるとよかったかなあとは思います。漫才が問題なくできているのであれば、ひとつ編み出せばだいぶ変わってきそうではあります。
Aマッソ(ワタナベエンターテインメント)
自然の良さを知ろうとするもののところに現れるとされる「文化にふれな侍」というものがあれこれ暴れ回るというネタでありました。
独特なキャラクターを出す場合にはとりあえずある程度はそれがどういうやつなのかを観客に認識してもらう必要が基本的にはございますし、訳が分からないなら訳が分からないなりに笑いどころをキッチリと観客に示す必要があるのだと考えられますが、今回の場合はそのどちらも達成せず、「変なのが変なことをして終わった」で終わり、そこまで笑いに繋がらなかったのではないかと思われます。短い時間で暴れるには設定が多く、複雑すぎたのが一因ではないかと考えております。
三四郎(マセキ芸能社)
ファンに神対応を試みるもファンが予想以上にヤバいやつだった、というネタでありました。
独自の言語感覚によるツッコミは健在でありますが、それ以上にキチンとネタをまとめてきた印象があります。独特な言い回しは自然と不自然の間を揺れてる印象ですが、相手の攻撃に対する言葉を中心にはまっていたのでよかったのではないかと思われます。ボケが発言後に数秒ずつ何もしていない状態があった、という点は気になりました。
東京ホテイソン(グレープカンパニー)
山に行ってクワガタを見つけるなどいろいろする話をベースに、ボケの行為に対してツッコミが独特な言葉と言い回しで一言二言くらい言い放って落とすというネタでありました。
ボケは明確にボケることがそこまで多くなく、それだけを見ていると面白い点を見出せない可能性もありそうなのですが、そこをツッコミがビシッと決める、そういうシステムのように見えました。ある程度以上、観客に受け入れられていたように思われます。笑いを取る場所が普通の漫才よりも限られてきますので、一発の破壊力をより上げてゆくのが今後の課題になるのでしょうか。
アイロンヘッド(吉本興業)
無口な人とふたりきりでコンビニバイトをするという気まずい場面だったはずが、ふたりとも考えていることが独り言として口にしてしまうタイプの人間で、それによって互いの意思疎通をうまくいかせるというネタでありました。
システムとしては面白いと思いました。無口な人が心の中では実はいい人っぽい考えを持っていたとか、実はもう片方も思ったことを口にしてしまうとか、様々なシステムを二重三重にして笑って貰うということには成功していると思います。と同時に、今のところは話がそこで終わってしまっているようにも思いまして、話を盛り上げるポイントなどを仕掛ける必要があるのかなあとは思いました。
感想はまだまだ続きます。