0:まずはじめに
漫才におけるボケとツッコミの区別がいまいち分からないという話を聞きました。普通、ボケと言えばおかしなことを言う人で、ツッコミがそれを訂正する人という印象かと思われます。しかし、最近の漫才はツッコミがボケっぽいことを言っている場合が多いため、どちらがボケでどちらがツッコミなのか、見分けがつきづらくなっているようです。
どうしてそうなったのか。それは漫才を面白くするよう漫才師たちが苦心した結果だと思います。では、ツッコミはどう変わったのか。そして、どんな形があるのか。ツッコミの種類をネットで調べてみましたが、非常に細かく分類してありました。それはそれで興味深かったですが、ここではなるべく単純な形で分類してみました。
より簡単に説明できるよう、言葉の視点での分類に限定しました。つまり、面白い顔をしたり相方を叩いたりといった動作や表情によるツッコミは、今回は考慮しておりません。それから、俗に「間(ま)」と呼ばれる、ボケてからツッコミを入れるまでの時間による分類も今回は省略してあります。
それでは、まずはツッコミの基本形を、例文を用いて説明してみます。
1:基本形
では、上記の例文をちょっと変えて、ツッコミを数種類、説明して参ります。
2:乗る
3:例える
4:広げる
5:泳がせる
もちろん、泳がせるだけ泳がしといて、
6:思い直す
7:間違える
8:おわりに
以上のように、ツッコミを私の勝手で分類しましたけれども、もちろん一線で活躍している芸人ともなりますと、上記のツッコミを時と場合によって使い分けているのが普通です。
例えば、こんな感じでしょうかね。
ここまでツッコミの区別がつきづらいという話から、ツッコミの種類をザックリと説明してみましたけれども、ボケとツッコミの区別がつかなくてもお笑いを楽しむうえでは特に問題ございません。ただ、気が向いたときにツッコミの発言に注目して、このツッコミはあれかななんて考えるのもまた楽しいかもしれません。
漫才におけるボケとツッコミの区別がいまいち分からないという話を聞きました。普通、ボケと言えばおかしなことを言う人で、ツッコミがそれを訂正する人という印象かと思われます。しかし、最近の漫才はツッコミがボケっぽいことを言っている場合が多いため、どちらがボケでどちらがツッコミなのか、見分けがつきづらくなっているようです。
どうしてそうなったのか。それは漫才を面白くするよう漫才師たちが苦心した結果だと思います。では、ツッコミはどう変わったのか。そして、どんな形があるのか。ツッコミの種類をネットで調べてみましたが、非常に細かく分類してありました。それはそれで興味深かったですが、ここではなるべく単純な形で分類してみました。
より簡単に説明できるよう、言葉の視点での分類に限定しました。つまり、面白い顔をしたり相方を叩いたりといった動作や表情によるツッコミは、今回は考慮しておりません。それから、俗に「間(ま)」と呼ばれる、ボケてからツッコミを入れるまでの時間による分類も今回は省略してあります。
それでは、まずはツッコミの基本形を、例文を用いて説明してみます。
1:基本形
「僕の好きな女性アイドルは山田太郎さん」ボケがおかしなことを言い、ツッコミが訂正をする。基本中の基本ではありますが、だからと言って軽く見ていいというわけではなく、むしろこのようなシンプルなツッコミで笑いを取れるツッコミがいいツッコミだ、という考え方も存在しています。
「男じゃん」
「身長はキュートな5メートル」
「そんなわけないだろ」
では、上記の例文をちょっと変えて、ツッコミを数種類、説明して参ります。
2:乗る
「僕の好きな女性アイドルは山田太郎さん」いわゆる「ノリツッコミ」と呼ばれるものです。先ほども書いた通り、ツッコミの基本形は訂正でしたが、ここでのツッコミはボケの発言を一旦は肯定します。この肯定が俗に「乗る」と呼ばれる行為でして、ツッコミの発言でも乗っている部分はボケの性質を持っています。ツッコミはボケを訂正するはずだ、という観客の予想を裏切ることで笑いを誘う方法と考えられますが、ボケとツッコミの区別を分かりづらくしていることも事実です。
「あら、可憐な名前。いや、男じゃん」
3:例える
「身長はキュートな5メートル」こちらは「例えツッコミ」と呼ばれています。ボケのおかしな発言に対して、的確な例えを用いて訂正するというやり方ももちろんありますが、おかしな例えを持ってきてツッコむという方法も広く使われています。この「おかしな例え」がボケのような働きをするため、ツッコミの発言なのにボケっぽく見えてしまう場合がございます。
「もう妖怪じゃん」
4:広げる
「身長はキュートな5メートル」ボケの発言から話を広げることでウケを狙うツッコミというものがございます。基本形のような訂正だけのツッコミに比べ、ツッコミがボケのおかしさを具体的に説明することで笑いやすくさせています。現在では広く使われている方法でしょう。例えツッコミも同様ですが、言葉選びのセンスが試されるツッコミでもありまして、人の笑いを誘うような説明をする部分がボケっぽく聞こえてしまう場合もございます。
「誰とも握手できないじゃん。ひとりだけうつ伏せで握手会するの?」
5:泳がせる
「僕の好きな女性アイドルは山田太郎さん」俗に「すかし」と呼ばれる手法と考えてもらって問題ないと思います。これもまたツッコミはボケの発言を訂正するはずだ、という客の予想を裏切る形で笑いを誘う形です。ちょっとややこしい話になりますが、「ツッコんでない」ということが本来のツッコミよりもボケ寄りになるため、ボケっぽく感じられる人がいるかと存じます。泳がせ方としては相槌を打つだけのものもあれば、敢えて無視をするという形もございます。
「ほう」
「身長はキュートな5メートル」
「なるほど」
「好きな食べ物は石油、砂利、コンクリート」
「いいですな」
もちろん、泳がせるだけ泳がしといて、
「好きな食べ物は石油、砂利、コンクリート」という風に後からツッコむ形もございます。
「誰が怪獣を紹介しろと言った」
6:思い直す
「好きな食べ物は石油、砂利、コンクリート」最初はボケの発言を訂正しておいて後半でちょっと歩み寄る。もしくは自分でボケて自分でツッコむ。そういう意味ではノリツッコミと順序が逆になっています。やっぱりボケの要素が入っているように見えてしまっています。
「誰が怪獣を紹介しろと言った。いや、怪獣にしては小さいな」
7:間違える
「僕の好きな女性アイドルは山田太郎さん」最後に「ツッコミを間違える」という方法があります。オードリーの出世作でもありますね。間違ったツッコミはもうボケだと考えられまして、実際にこの例文は他と違いボケとツッコミが入れ替わっています(間違ったツッコミに必ずツッコまなければならいというわけではありません)。これもまたボケとツッコミの区別を難しくする一因だと考えられます。
「鈴木次郎だろ」
「どこツッコんでんだよ。ちなみに身長はキュートな5メートル」
「そこは贅沢に10メートルだろ」
「贅沢にって何だよ」
8:おわりに
以上のように、ツッコミを私の勝手で分類しましたけれども、もちろん一線で活躍している芸人ともなりますと、上記のツッコミを時と場合によって使い分けているのが普通です。
例えば、こんな感じでしょうかね。
「僕の好きな女性アイドルは山田太郎さん」例文のクオリティはともかく、様々な手法を使いこなしている感じがお分かりいただければ幸いです。
「………まあ、今やね、ジェンダーフリーな時代ですからね」
「身長はキュートな5メートル」
「白鵬2.5人分ですか。日本でも珍しい肉体系アイドルですね」
「好きな食べ物は石油、砂利、コンクリート」
「もうアイドルどころか人でもないじゃん」
ここまでツッコミの区別がつきづらいという話から、ツッコミの種類をザックリと説明してみましたけれども、ボケとツッコミの区別がつかなくてもお笑いを楽しむうえでは特に問題ございません。ただ、気が向いたときにツッコミの発言に注目して、このツッコミはあれかななんて考えるのもまた楽しいかもしれません。