2017年10月4日に行われたM-1グランプリ2回戦を見て参りましたので、感想を書く次第であります。例年通り、合格した組と不合格でしたが個人的に気になった組について書きました。この日の参加組数は143組、そのうち合格したのは21組でありました。
名前は敬称略です。事務所や結成年、過去2年の成績はM-1グランプリ公式サイトを参照にしております。正式名称が長いので、吉本所属の芸人は「吉本興業」表記にしております。
続いて通過した組のうち8〜14組目の感想です。
のばしぼん(ワタナベエンターテインメント) 2014年結成
2015年:1回戦 2016年:2回戦
歴史好きのボケが大河ドラマや過去の出来事をいろいろ語った後、戦国時代の話に移り、どの武将が強いかという話になり、いろんな候補を出すもいつも顕如に落ち着く。それから「あ」から始まる武将、みたいな感じで五十音順に語っていくもやっぱり謙虚に落ち着き、「け」でも当然顕如に落ち着く、というネタでありました。
様々な話を半ば強引にひとつのワードへ落とす、というタイプの漫才はここ数年でボチボチ見られるようになりましたが、その「ひとつのワード」が顕如という一般的な知名度がいまいちなものを選んだことと、ラストで「け」の武将としてやっぱり顕如が出てきたという点が2回戦を通過させたのではないかと思われます。強引に落としたというよりは割と理屈で落としておりまして、それはそれでありかなとは思いますが、更なる特徴が欲しいところです。
たぬきごはん(松竹芸能) 2011年結成
2015年:2回戦 2016年:準々決勝
この辺りの大地主、ボケが西園寺家のひとり娘を自称する西園寺綾雨となり、ツッコミが西園寺のお付きを自称するシシクラとしてネタをするコンビ。基本的には俗なものの知識に疎いボケが俗な言葉を間違って解釈し、それをツッコミが更に間違ったフォローをするという形を得意としております。今回は輪唱をすることになったが、「少しずらして歌をうたう」という輪唱の定義を、歌は歌でも和歌で輪唱しようとするボケをツッコミが戸惑いながらフォローするネタでありました。
和歌を上手に歌うのが返ってボケを際立たせており、更にツッコミのフォローもまた無茶苦茶な取り繕いをするのが非常にうまいと思いました。また、台詞の表現が過不足なく、ふたりの演技もきちんとしている。前より力をつけてきた印象です。
ザ・パーフェクト(サンミュージックプロダクション) 2014年結成
2015年:準々決勝 2016年:準々決勝
バーテンダーとその客の話でありますけれども、その店には変な客もいるしバーテンも変だし、というネタでありました。
テーマ自体は割とありがちな話なのでありますけれども、ツッコミの子が気が弱そうというかすぐ慌てるというか、そういう感じに見せてはいるものの、つい呟いてしまうかのように放つ一言がかなり笑いを取っているのであります。ツッコミ本来の人柄を活かしつつ、リズムよくネタをこなした印象です。
タイーク(松竹芸能) 2017年結成
2015年:不参加 2016年:不参加
「これは○○の話なんだけど」と言ってツッコミが話し始めると、ボケが「オチが読める」とか言って話しの最後を次々に言い当てる。かと思えば突然、最後当てクイズみたいになったりさせて発展させるネタでありました。
「オチが読める」だけだったら落ちていたと思うのでありますが、クイズで答えるフリして正解を探り当てようとしたりするなどの要素を加えることで2回戦を突破できるネタになったと思います。ギリギリ合格かな、という印象でもありましたが。
テゴネハンバーグ(吉本興業) 2009年結成
2015年:3回戦 2016年:準々決勝
アメリカに行ってしまう彼女を飛行場で引き留め、プロポーズをする場面にBGMをつけてくれとツッコミがボケに頼むが、そのBGMがいろいろとおかしいというネタでありました。
どうしても歌がネタの中心になってしまいがちな「歌ネタ」を一場面のBGMにすることでよりネタが中心となった歌ネタにしたのは大した発想であります。更にBGMのチョイスもお笑い的によく、BGMのどういう面をお笑いに使うかというのもまたそれぞれ異なる視点の歌を用いるなど、いろんなところに手が行き届いている歌ネタでありました。
馬鹿よ貴方は(オフィス北野) 2008年結成
2015年:決勝8位 2016年:準決勝
もはや売れてるコンビだと思います。独特な外見や喋りをするボケをうまく活用したネタでよく知られております。
ボケが目に見えて変わっているために妙なことを言っても変にリアリティがある上、目に見えて変わっているため、ちょっとやそっときついことを口走っても笑いとして許容されるのが今回も大きな強みでありました。また、普通のことも変なことも同じトーンで言えるため、いつボケが飛んでくるか予想が難しく、これが笑いに繋がっている部分もあるかと存じます。
相席スタート(吉本興業) 2013年結成
2015年:敗者復活戦 2016年:決勝9位
若手男女コンビではトップクラスの実力があるかと存じます。異性から好きなタイプを聞かれたらどう答えるかによってモテるかどうかが決まる、という考えのもと、異性が「この人なら自分でもいけそうだ」と思わせる言い方をボケがツッコミに伝授するというネタでありました。
恋愛に関するネタは世の中に腐るほどありますけれども、非常に独自性のある視点で調理できている点で2回戦が彼らにとって単なる通過点であることがよく分かります。芸能人なら誰に例えるか。男性なら、女性なら誰がいいか。その芸能人がなぜベストか。そこまで話が進んだ後、「自分がそのいけそうだと思わせる芸能人になりたい」とボケが立候補する。話の流れも綺麗ですしちゃんと笑える。今年も決勝候補かと。
感想はまだまだ続きます。
名前は敬称略です。事務所や結成年、過去2年の成績はM-1グランプリ公式サイトを参照にしております。正式名称が長いので、吉本所属の芸人は「吉本興業」表記にしております。
続いて通過した組のうち8〜14組目の感想です。
のばしぼん(ワタナベエンターテインメント) 2014年結成
2015年:1回戦 2016年:2回戦
歴史好きのボケが大河ドラマや過去の出来事をいろいろ語った後、戦国時代の話に移り、どの武将が強いかという話になり、いろんな候補を出すもいつも顕如に落ち着く。それから「あ」から始まる武将、みたいな感じで五十音順に語っていくもやっぱり謙虚に落ち着き、「け」でも当然顕如に落ち着く、というネタでありました。
様々な話を半ば強引にひとつのワードへ落とす、というタイプの漫才はここ数年でボチボチ見られるようになりましたが、その「ひとつのワード」が顕如という一般的な知名度がいまいちなものを選んだことと、ラストで「け」の武将としてやっぱり顕如が出てきたという点が2回戦を通過させたのではないかと思われます。強引に落としたというよりは割と理屈で落としておりまして、それはそれでありかなとは思いますが、更なる特徴が欲しいところです。
たぬきごはん(松竹芸能) 2011年結成
2015年:2回戦 2016年:準々決勝
この辺りの大地主、ボケが西園寺家のひとり娘を自称する西園寺綾雨となり、ツッコミが西園寺のお付きを自称するシシクラとしてネタをするコンビ。基本的には俗なものの知識に疎いボケが俗な言葉を間違って解釈し、それをツッコミが更に間違ったフォローをするという形を得意としております。今回は輪唱をすることになったが、「少しずらして歌をうたう」という輪唱の定義を、歌は歌でも和歌で輪唱しようとするボケをツッコミが戸惑いながらフォローするネタでありました。
和歌を上手に歌うのが返ってボケを際立たせており、更にツッコミのフォローもまた無茶苦茶な取り繕いをするのが非常にうまいと思いました。また、台詞の表現が過不足なく、ふたりの演技もきちんとしている。前より力をつけてきた印象です。
ザ・パーフェクト(サンミュージックプロダクション) 2014年結成
2015年:準々決勝 2016年:準々決勝
バーテンダーとその客の話でありますけれども、その店には変な客もいるしバーテンも変だし、というネタでありました。
テーマ自体は割とありがちな話なのでありますけれども、ツッコミの子が気が弱そうというかすぐ慌てるというか、そういう感じに見せてはいるものの、つい呟いてしまうかのように放つ一言がかなり笑いを取っているのであります。ツッコミ本来の人柄を活かしつつ、リズムよくネタをこなした印象です。
タイーク(松竹芸能) 2017年結成
2015年:不参加 2016年:不参加
「これは○○の話なんだけど」と言ってツッコミが話し始めると、ボケが「オチが読める」とか言って話しの最後を次々に言い当てる。かと思えば突然、最後当てクイズみたいになったりさせて発展させるネタでありました。
「オチが読める」だけだったら落ちていたと思うのでありますが、クイズで答えるフリして正解を探り当てようとしたりするなどの要素を加えることで2回戦を突破できるネタになったと思います。ギリギリ合格かな、という印象でもありましたが。
テゴネハンバーグ(吉本興業) 2009年結成
2015年:3回戦 2016年:準々決勝
アメリカに行ってしまう彼女を飛行場で引き留め、プロポーズをする場面にBGMをつけてくれとツッコミがボケに頼むが、そのBGMがいろいろとおかしいというネタでありました。
どうしても歌がネタの中心になってしまいがちな「歌ネタ」を一場面のBGMにすることでよりネタが中心となった歌ネタにしたのは大した発想であります。更にBGMのチョイスもお笑い的によく、BGMのどういう面をお笑いに使うかというのもまたそれぞれ異なる視点の歌を用いるなど、いろんなところに手が行き届いている歌ネタでありました。
馬鹿よ貴方は(オフィス北野) 2008年結成
2015年:決勝8位 2016年:準決勝
もはや売れてるコンビだと思います。独特な外見や喋りをするボケをうまく活用したネタでよく知られております。
ボケが目に見えて変わっているために妙なことを言っても変にリアリティがある上、目に見えて変わっているため、ちょっとやそっときついことを口走っても笑いとして許容されるのが今回も大きな強みでありました。また、普通のことも変なことも同じトーンで言えるため、いつボケが飛んでくるか予想が難しく、これが笑いに繋がっている部分もあるかと存じます。
相席スタート(吉本興業) 2013年結成
2015年:敗者復活戦 2016年:決勝9位
若手男女コンビではトップクラスの実力があるかと存じます。異性から好きなタイプを聞かれたらどう答えるかによってモテるかどうかが決まる、という考えのもと、異性が「この人なら自分でもいけそうだ」と思わせる言い方をボケがツッコミに伝授するというネタでありました。
恋愛に関するネタは世の中に腐るほどありますけれども、非常に独自性のある視点で調理できている点で2回戦が彼らにとって単なる通過点であることがよく分かります。芸能人なら誰に例えるか。男性なら、女性なら誰がいいか。その芸能人がなぜベストか。そこまで話が進んだ後、「自分がそのいけそうだと思わせる芸能人になりたい」とボケが立候補する。話の流れも綺麗ですしちゃんと笑える。今年も決勝候補かと。
感想はまだまだ続きます。