2018年10月4日におこなわれたM-1グランプリの2回戦を見て来ましたので適当に感想を書いて参ります。
この日は93組が出場し、23組が合格しました。ただし、後に追加合格の可能性があるようです。
ここでは合格者の16組目以降の感想を書いて参ります。
ヤーレンズ(ケイダッシュステージ)
お金を拾った話から、ツッコミがボケに金を返すよう迫るも、ボケが適当なことばかり言うネタでした。
ニコニコしながらくだらないことを言うボケが特徴ではありますが、以前に比べてテンポが速くなり、それがうまく笑いに繋がっている印象でありました。喋りはもちろん、掛け合いのタイミングもよくなっておりまして、腕を鍛えてきた感じが出ております。
ロングロング(ケイマックス)
美味しいパンを焼きたいというネタをテーマにボケが話を次々に脱線させ、ツッコミが振り回されるネタでした。
話を脱線させてウケを狙うボケは多いわけですが、脱線のさせ方がまた特徴的でした。同じく特徴的な前出のヤーレンズが話のテーマを起点にしてダジャレじみたギャグやおかしな話へ持って行くのに対し、ロングロングの場合は話のテーマ自体を全く別のものにしてしまい、時にはその別テーマの話を進行させるという手法が多用されており、かつ笑わせることに成功させておりました。ロングロングもまた会話のテンポがよく、2回戦通過は当然という印象でした。
トム・ブラウン(ケイダッシュステージ)
名前に一と二と三が付く有名人を合体させて加藤一二三さんを作ろうとするも予定通りにはいかず、そのうちに全く関係ないものを合体させていくというネタでした。
合体して出来上がるものの名前は素材となった人物の名前が中途半端に融合されたものであり、それは次第に長くなり、そして言いづらいものになっていきます。実際に言いづらそうにはしておりましたけれども、多少噛もうが何だろうが勢いを利用してガンガン突っ切っていく、そんな印象でした。緻密に計算されたネタで面白いものがあるのと同様、ちょっとでもスピードが乗ったら勢いを利用して突っ走るという形式があってもいいわけで、それゆえに合格したのではないかと思われます。
アイデンティティ(太田プロダクション)
ボケが野沢雅子さんの物真似をすることで知られるコンビ。
野沢雅子さんの声でカーナビをするというネタをしていました。
ネタの設定自体はまあまああるわけでして、そこをボケの野沢雅子さんの物真似やその自分自身をいじる行為、もちろん漫才自体の技術などで余裕の通過といった印象です。しかし、テーマのベタさを補うには不安があるような気も。いずれにしろそれを気にするのはもっと上で戦う時の話です。
三四郎(マセキ芸能社)
阿波踊りの練習をするも、ボケに茶々を入れられるというネタでした。
毎年同じようなネタでM-1に挑む人たちは年々成績を落とし、2回戦辺りで下げ止まる組が多い印象です。しかし、三四郎はずっと阿波踊りなど決められのネタばかりしている気がしますが全然成績を落とさず、高位置をキープしているわけです。もともとわちゃわちゃした漫才が得意で、ツッコミの独特な言語感覚も活き、アドリブの比率が他のコンビに比べて高く、またそれが面白いからという理由くらいしか思い浮かびません。それだけいろいろ遊んで結果を残しているのですから、もっとネタを次々やってみてもいいように思うのですが、これもまた2回戦では特に問題とはならない話です。
ゆにばーす(吉本興業)
共に外見に特徴のある男女コンビでして、ボケの女性が「相方を彼氏だと思われているため家族と喧嘩している」と言い、ツッコミがそれを止めるためにボケの家族宅へ行き誤解を解こうとするネタでした。
非常によくできたネタでした。漫才師である現実の自分たちの設定をそのまま用いてコントに入り、そこでは全くタイプの異なる漫才をやってのけ、その漫才自体をひとつのボケとして処理する。何よりもその複雑な構造を観客に当たり前の出来事のようにすんなりと理解させる構成力は抜群という他ないでしょう。もちろん、そんな様々な技能を必要とする漫才をサラッとやってのける技術がある点は言うまでもありません。優勝候補の一角に躍り出たのかもしれません。
相席スタート(吉本興業)
理想の結婚式を目指し、いわゆる誓いの言葉をするのでありますが、女性側の要望がとにかく多いし長い、というネタでした。
ボケの女性は「ちょうどいいブス」を自称してそれをネタに組み込み、ツッコミの男性がそれに振り回されるというネタでここ数年は闘ってきたのですが、今回はそれを封印してやや王道寄りの漫才で勝負をしてきました。大まかな内容はシンプルで、誓いの言葉を続けるボケにツッコミがひたすらツッコむわけですが、神父に扮しているボケが特に何の説明もないまま女性の要望をひたすら誓わせようと言うところは多少のひねりが効いているものの、それくらいなら他の組でもやっているところではあります。そこを、話の筋を壊すことなく、しかし様々な視点や形式のボケを組み込み、ツッコミがそれにうまく対応するネタだったとは考えられます。新しい挑戦をしていることは確かですが、目指す先が今のところは分かりません。ただ、こういうシンプルなネタをして勝ち上がるのは流石であり、上位常連の組が時々見せる形ではあります。
和牛(吉本興業)
ご存じ優勝候補であり、このコンビがいるだけで観客動員数が桁違いに跳ね上がるほどの人気を誇ります。
フラッと入った料亭の話をベースに、料理が得意なボケとラグビー経験のあるツッコミというキャラをネタ中に確立し、ボケは料理の専門用語をラグビーの専門用語に翻訳し、ツッコミはラグビーの専門用語を料理の専門用語に翻訳しようとするも訳が分からなくなってしまうというネタでした。
笑いの形式はやや複雑であり、更にネタの冒頭でその形式を確立する必要があるためやることが多いはずなのですが、それを雑談みたいにサラッとやってのけるわけです。そして、さらに言えば、このネタでさえも彼らが持っている様々な漫才形式のひとつに過ぎないというのが恐ろしいところです。審査員も含めた会場の誰もが2回戦で落ちるなどとは考えておらず、そしてそれを簡単にやってのけた印象です。
合格者の感想は以上になります。感想自体はもう少し続きます。
この日は93組が出場し、23組が合格しました。ただし、後に追加合格の可能性があるようです。
ここでは合格者の16組目以降の感想を書いて参ります。
ヤーレンズ(ケイダッシュステージ)
お金を拾った話から、ツッコミがボケに金を返すよう迫るも、ボケが適当なことばかり言うネタでした。
ニコニコしながらくだらないことを言うボケが特徴ではありますが、以前に比べてテンポが速くなり、それがうまく笑いに繋がっている印象でありました。喋りはもちろん、掛け合いのタイミングもよくなっておりまして、腕を鍛えてきた感じが出ております。
ロングロング(ケイマックス)
美味しいパンを焼きたいというネタをテーマにボケが話を次々に脱線させ、ツッコミが振り回されるネタでした。
話を脱線させてウケを狙うボケは多いわけですが、脱線のさせ方がまた特徴的でした。同じく特徴的な前出のヤーレンズが話のテーマを起点にしてダジャレじみたギャグやおかしな話へ持って行くのに対し、ロングロングの場合は話のテーマ自体を全く別のものにしてしまい、時にはその別テーマの話を進行させるという手法が多用されており、かつ笑わせることに成功させておりました。ロングロングもまた会話のテンポがよく、2回戦通過は当然という印象でした。
トム・ブラウン(ケイダッシュステージ)
名前に一と二と三が付く有名人を合体させて加藤一二三さんを作ろうとするも予定通りにはいかず、そのうちに全く関係ないものを合体させていくというネタでした。
合体して出来上がるものの名前は素材となった人物の名前が中途半端に融合されたものであり、それは次第に長くなり、そして言いづらいものになっていきます。実際に言いづらそうにはしておりましたけれども、多少噛もうが何だろうが勢いを利用してガンガン突っ切っていく、そんな印象でした。緻密に計算されたネタで面白いものがあるのと同様、ちょっとでもスピードが乗ったら勢いを利用して突っ走るという形式があってもいいわけで、それゆえに合格したのではないかと思われます。
アイデンティティ(太田プロダクション)
ボケが野沢雅子さんの物真似をすることで知られるコンビ。
野沢雅子さんの声でカーナビをするというネタをしていました。
ネタの設定自体はまあまああるわけでして、そこをボケの野沢雅子さんの物真似やその自分自身をいじる行為、もちろん漫才自体の技術などで余裕の通過といった印象です。しかし、テーマのベタさを補うには不安があるような気も。いずれにしろそれを気にするのはもっと上で戦う時の話です。
三四郎(マセキ芸能社)
阿波踊りの練習をするも、ボケに茶々を入れられるというネタでした。
毎年同じようなネタでM-1に挑む人たちは年々成績を落とし、2回戦辺りで下げ止まる組が多い印象です。しかし、三四郎はずっと阿波踊りなど決められのネタばかりしている気がしますが全然成績を落とさず、高位置をキープしているわけです。もともとわちゃわちゃした漫才が得意で、ツッコミの独特な言語感覚も活き、アドリブの比率が他のコンビに比べて高く、またそれが面白いからという理由くらいしか思い浮かびません。それだけいろいろ遊んで結果を残しているのですから、もっとネタを次々やってみてもいいように思うのですが、これもまた2回戦では特に問題とはならない話です。
ゆにばーす(吉本興業)
共に外見に特徴のある男女コンビでして、ボケの女性が「相方を彼氏だと思われているため家族と喧嘩している」と言い、ツッコミがそれを止めるためにボケの家族宅へ行き誤解を解こうとするネタでした。
非常によくできたネタでした。漫才師である現実の自分たちの設定をそのまま用いてコントに入り、そこでは全くタイプの異なる漫才をやってのけ、その漫才自体をひとつのボケとして処理する。何よりもその複雑な構造を観客に当たり前の出来事のようにすんなりと理解させる構成力は抜群という他ないでしょう。もちろん、そんな様々な技能を必要とする漫才をサラッとやってのける技術がある点は言うまでもありません。優勝候補の一角に躍り出たのかもしれません。
相席スタート(吉本興業)
理想の結婚式を目指し、いわゆる誓いの言葉をするのでありますが、女性側の要望がとにかく多いし長い、というネタでした。
ボケの女性は「ちょうどいいブス」を自称してそれをネタに組み込み、ツッコミの男性がそれに振り回されるというネタでここ数年は闘ってきたのですが、今回はそれを封印してやや王道寄りの漫才で勝負をしてきました。大まかな内容はシンプルで、誓いの言葉を続けるボケにツッコミがひたすらツッコむわけですが、神父に扮しているボケが特に何の説明もないまま女性の要望をひたすら誓わせようと言うところは多少のひねりが効いているものの、それくらいなら他の組でもやっているところではあります。そこを、話の筋を壊すことなく、しかし様々な視点や形式のボケを組み込み、ツッコミがそれにうまく対応するネタだったとは考えられます。新しい挑戦をしていることは確かですが、目指す先が今のところは分かりません。ただ、こういうシンプルなネタをして勝ち上がるのは流石であり、上位常連の組が時々見せる形ではあります。
和牛(吉本興業)
ご存じ優勝候補であり、このコンビがいるだけで観客動員数が桁違いに跳ね上がるほどの人気を誇ります。
フラッと入った料亭の話をベースに、料理が得意なボケとラグビー経験のあるツッコミというキャラをネタ中に確立し、ボケは料理の専門用語をラグビーの専門用語に翻訳し、ツッコミはラグビーの専門用語を料理の専門用語に翻訳しようとするも訳が分からなくなってしまうというネタでした。
笑いの形式はやや複雑であり、更にネタの冒頭でその形式を確立する必要があるためやることが多いはずなのですが、それを雑談みたいにサラッとやってのけるわけです。そして、さらに言えば、このネタでさえも彼らが持っている様々な漫才形式のひとつに過ぎないというのが恐ろしいところです。審査員も含めた会場の誰もが2回戦で落ちるなどとは考えておらず、そしてそれを簡単にやってのけた印象です。
合格者の感想は以上になります。感想自体はもう少し続きます。